欧州を船と電車で旅する1ヶ月の記録〜出発編〜

Travel journey▶︎

  北京→イスタンブールギリシャ→イタリア→フランス→スイス→フランス→スペイン→北京

 計45日、船と電車で23都市を巡る旅。費用総額は約38万円(飛行機・ホテル込み)

 

2018年8月8日

 大学三年生だった私は、北京にての半年のインターンシップに別れを告げ、学校の手続きなども終え、本格的な夏休みに入ろうとしていた。北京の夏は暑い。このカラッとした暑さともしばらくお別れだ。

深夜の飛行機に乗るため、夜、急ぎ足で空港に着いてみると、人で溢れかえっている!!さすがは北京。午前中は会社で仕事をしていたのに夜に旅を始め、飛行機の上で眠るという、時空の不思議さを感じながら人混みを抜け22時半のフライトを待った。

 

行き先はアゼルバイジャンのバクー、目的地はイスタンブール。旅慣れしてきたためか、あまり深く考えない性分になってしまったためか、これから約40日の旅が始まろうとしてるのに、特に緊張感もなく飛んでしまった。準備も入念にしていない。強いて言うなら3日かけて230ユーロほど換金したのみ。これから全くの異文化が待っている。ヨーロッパはスリが多いらしい。引き締めなくては。

 

夜の飛行機はなんだか少し寂しい。これから夜空を駆け抜ける不安を飛行機自体が感じているのかもしれない。窓から見える夜景も、人々が1日を終わらせているため、どことなく静かに感じる。窓側の席を選んだはいいものの、隣の席に北京の典型的なおじさんが座ってきた。本来ならちょっと嫌な気持ちになるところを、私は疲れていたのかすぐに気にせず空の上で眠ってしまった。初めて乗るアゼルバイジャン航空、スチュワーデスは男性が多く、設備もなかなか充実してる。空調が寒く、毛布をくださいと2回頼んだのに、よくわからん理由をつけられて結局くれなかったが、歯ブラシセットなどもあり快適に過ごした。

 

 

 

はずだった。

 

 

朝。

 

私を起こしたのは飛行機から見る朝陽でも、機内に流れる優雅なクラシックメロディーでもなく、隣の席に座ったおじさんだった。

 

そろそろ着陸になり、いきなり私を大声で起こしたのだ。

 

大声で起こした割にはもじもじと話していたが、トランジットについてわからないことがあり、私にスチュワーデスに聞いてほしいらしい。私にトランジットとかわかるわけあるか!自分のもわからないわ!と思ったが、私が毛布を欲しいとスチュワーデスと会話していたのを見ていたので、きっと私に英語でスチュワーデスに聞いて欲しかったのだろう。

察したが、気持ちよく眠ってたのにそんな理由で起こされたので不機嫌だったのと、そうゆう全てを模索するのが旅だよ、ということでスチュワーデスに聞いてあげなかった。空港着いたら表示に従って進めば大丈夫、と一応伝えたがつくづく心を広く持ちたいとおもった。

 

そんなこんな、不機嫌や反省の中、私の目を覚まし、人に優しくしようと思わせたのはやはり窓から目下に広がる景色だった。

朝を迎えはじめのバクー。オレンジ色の屋根がたくさん並ぶ小さな、こじんまりとした町。力強い日の出も、この町では柔らかく見える。もう起きた人はいるのだろうか。お母さんが朝ごはんの支度をしているかもしれない。おじいちゃんが畑仕事をしているかもしれない。この時間までオールで勉強している学生、朝帰りのサラリーマンとかもいるのかしら。そんなことを考えながら、頭の片隅で北京の喧騒を思い出しながら、ワクワクと降り立った。

 

 

旅が始まる。